エコカーといへばハイブリッド、といふ今の日本の風潮に真つ向から立ち向かふかのやうに、マツダは日本市場にも新世代のディーゼルエンジン車を投入してゐます。既にアクセラ・アテンザ・CX-5にはSKYACTIV-D 2.2が搭載されてゐますが、それに加へていはゆるダウンサイジングターボの流れとして、デミオ・CX-3ではSKYACTIV-D 1.5が搭載され、発売とともに好評を博してゐるやうです。CX-3はディーゼルのみの設定ですし、新型デミオも受注の半分以上がディーゼルだとかいふ話で、そんなに人気なら乗つてみたいなと思つてゐたところ、運良く試乗する機会がありましたので、簡単に感想など書いてみたいと思ひます。
まづは新型デミオ。先代デミオを購入した少し後、1ヶ月点検でくるまをマツダディーラーに持つて行つた際に、待ち時間を利用して乗せて貰ひました。モデルはXD Touring。普段がMT車なため、それと比べてAT車はアクセルワークに対するレスポンスが若干悪いなーなどと思ひながらの走り出しとなりました。しかし、停止状態からの加速はスムーズで、なかなかの力強さです。しかもエンジン音がとても静か。カタログスペックでも最高トルク発生時のエンジン回転数が低い(1600-2500rpm)のが目を引いてはゐましたが、なるほど発進時にエンジンを大きく吹かす必要が無いのは良いなと感じました。
そこから巡航速度まで持つて行かうといふ頃にはターボもしつかり効いてきて、これまた実に気持ち良く加速してくれます。直線でグッとアクセルを踏み込んだ時の加速は実にパワフルで、2.5L並みの性能との表現には偽りなしと言へさうです。その後の走行も実に安定感があり、コンパクトカーのクセして高速道路でクルージングしたら快適さうだなとしみじみ思ひました。
さてその日は「次に乗るならディーゼルがいいかなー」とか思ひながら家路についたのですが、後日CX-3に試乗する機会にも恵まれた時の感想は「次は絶対ディーゼルにしよう」に変はつてゐました。
といふわけで次はCX-3。今度のモデルはXDです。前回の新型デミオと基本的にエンジンは同じなので、走りとしてもわりと似通つてゐる感じがあります。もちろん車体の大小の違ひはあり、こちらの方がより安定性に優れてゐるのだろうとは思ふのですが、新型デミオとで大きな差を感じなかつたといふのが正直なところです。それは試乗したコースが概ね平坦だつた事に起因しているかも知れません。もつとじつくりと色々乗り比べてみたい、といふかいつそ色々所持して思ふ存分乗りまくつてみたいところですが、残念な事にワタクシそんな車道楽が出来るやうな身分ではございません。ああ悲しい現実かな。
とまあ冗談はさておき、この日はまだ時間があつたので、ついでにアクセラスポーツの1.5Lガソリンエンジンモデルにも試乗してみました。本当に何の気なしの試乗だつたのですが、これが実に正解でした。ディーゼルとガソリンの違ひがあからさまに出たからです。
まづ試乗開始直後、道路に出てアクセルを最初に踏み込んだ時点で決定的に違ひました。CX-3の時と同じ程度におつかなびつくりゆるりと踏んだのですが、エンジンがうなりを上げ、その割に加速があまり強くない。「うわッ! 全然違ふ!」思はず口から漏れ出てしまふくらゐ。その後加速していくにつれ、パワー自体はそこそこ感じられるやうにはなつてくるのですが、いかんせんエンジン音がCX-3と比べると相変はらず大きい。何なのこれ。
ディーゼルエンジンといへば「うるさい・加速しない・黒煙もくもく」の三拍子揃つた不人気者といふのがよくあるイメージですが、この試乗中、少なくとも前二者についてはディーゼルとガソリンで逆転してしまつてゐます。あれれー? おかしいなー? なんて事を考へてゐたかどうかはともかく、そんな感じでディーゼルすげえ! ディーゼルすげえ! と心の中で連呼しながらの試乗終了となりました。
止めは試乗終了後に、クリーンディーゼル試乗車のマフラーを見せられてのマツダディーラー営業氏の言。「もう何千キロも試乗で走りましたが、全然汚れてないでせう?」確かに煤とか全然付いてないんですね。いやまあ、毎日きれいに拭いてるんぢやないかとかさういふ疑念はこの際持たない事にしませう。「エンジン音は静か、加速は良くて燃費も良いし、燃料も安い。これでディーゼルを選ばない理由がないんですよ」いやホント仰る通りですハイ。
といふわけで、ターボの有無の違ひはあるとはいへ、同じ排気量1.5Lのディーゼル車とガソリン車を乗り比べた結果、完全にディーゼル派と化してしまつたわたくしであります。皆さんも是非、マツダディーラーで両者を乗り比べてみて下さい。さうすれば、私のこの感動を理解して頂けるのではないかと思ひます。マツダのクリーンディーゼルすげえ。
あ、でもたぶん、メンテナンスを怠るとこの感動もやがて台無しになるのだらうなー、とは思ひました。皆さんも、くるまのメンテナンスはきちんとしませうね。